エンジンの冷却方式【バイクのメカニズム用語】

空冷式エンジンについて

空気の力でエンジンを冷やす方式ですが、バイクは自動車よりもこの方式を使う割合が高いです。
バイクはエンジン周りのパーツが露出しているため、空気に触れる面積が大きく空冷がしやすいからです。

機械構造の特徴としてはフィンが装備されていることです。
薄い金属の板が何重にも重なっているもので、表面積を増やすことで空気中に熱を放出しやすい仕組みです。
フィンは冷却効率を高めるのが主な目的ですが、見た目にインパクトがあるため、あえて見える位置に置いてデザイン効果を狙っているモデルもあります。

走行することで向かい風を受けて、その風の流れでエンジンの熱を奪うというメカニズムなので、バイクを停めている時には冷却効果が薄いです。
そのため、気温の高い夏でアイドリングを長時間続けているとか、空ぶかしをずっとしていると熱がこもり、エンジン温度が上がってしまうことがあります。
空冷式エンジンの特徴としては、エンジンをかけてすぐは振動が大きく、スムーズに吹け上がらないという注意点もあります。

水冷式エンジンについて

シリンダー内に水もしくは冷却液を循環させることで冷やすのが水冷式です。
シリンダー内部の燃焼室の周りに、ウォータージャケットと呼ばれる一種のパイプのような部分があり、そこを常に水が流れることでエンジンの熱を奪っていきます。
高温になった水はラジエーターに行き、ここでは基本的に空気に触れることで水を冷まします。
冷えた水がまたシリンダーに循環することで、効率よくエンジンの熱を抑えられるという仕組みです。

効率よくエンジンを冷やせる構造なので、安定した出力やエンジンの寿命を伸ばすといった効果があります。
一方で、ウォータージャケットを作らないといけないので、エンジンが多少大きくなることやラジエーターや水を循環させるためのウォーターポンプなどのパーツが必要となる特徴があります。

油冷式エンジンについて

油冷式は、エンジンオイルをシリンダーの高温になる部分に噴射することで温度を下げる仕組みです。
オイルクーラーによってオイルを冷却し循環させる必要があります。
これはラジエーターに近い構造のパーツで、水の代わりにオイルを循環させることになります。
冷却に使ったオイルは再度エンジン部分に戻るのですが、今度は潤滑のために使われるメカニズムです。

この方法だと、全体の構造がシンプルになり、水冷式よりもパーツ点数を減らし、軽量化を図れるというメリットがあります。
一方、冷却効率はそれほど高くないため、水冷式エンジンを採用するメーカーがほとんどとなっています。
一時期油冷式のモデルが非常に流行ったこともありますが、今ではごく限られたモデルしか採用していません。

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