独特なアイドリング、甲高いエンジン音、チャンバーから出る白煙。排ガス規制の流れによってもはや現行車ではお目にかかれなくなってしまった2ストの特徴や魅力についてまとめてみます。
2ストの仕組み
2ストロークという名のとおり、行程にして2回(ピストン1往復)ごとにガソリンを延焼させるエンジンの仕組みです。
シリンダーヘッドを持たない2ストは、軽量化ができる一方でオイルを完全燃焼させることができないため、未燃焼のガスがそのまま排出されてしまうデメリットがあります。ガソリンと一緒にエンジンオイルも燃焼するので、排ガスに有害物質が多く含まれてしまうというのが問題視されていたのです。また、未燃焼のエンジンオイルが排出されてしまうため、オイル消費量が4ストに比べると桁違いに増えます。
構造上仕方がないのですが、2ストは、暖機運転が終わっていないうちは煙幕がひどいうえオイルをまき散らしながら走るので、ツーリングで2ストが最後尾を走らされたり、後ろから来たバイクが瞬時に抜くか車間距離を大きく開けるのは2ストではよくあることです。後続のバイクやウェアを汚してしまうのでこれは仕方のないことです……。
このようにとめどないオイルの減少をできるだけ動力に変えるためのパーツが「チャンバー」です。
真ん中に膨らみを作って出口を狭めたパイプで、4ストであればマフラーの役割を果たします。出口を絞ることによって排気を跳ね返し、再度押し込戻します。2ストにおいてチャンバーは「エンジンの一部」と言われるほど重要なパーツです。
2ストが姿を消しつつある理由
バイクに関しては2000年ごろまで250cc以下を中心に2ストが採用されていましたが、排ガスの規制が強化されるに伴い4ストへの移行が進み、大幅に減少していきました。
日本では2006年に排ガス規制が全面施行され、レース用バイクを除いて2スト車が作られることはなくなりました。日本以外の国でもほとんど同じように排ガス規制が進んでおり、世界的に4ストへの切り替えが進んでいます。
2ストの魅力は「軽量かつハイパワー」
たとえ排気量が低くても出力が高いのが2ストの魅力です。
4スト(50cc)が3~4馬力しか出ないのに対して、2スト(50cc)であれば倍の7馬力は出るほどのハイパワー。一方で、低速をやや苦手としている節はありますが、それを補って余りあるパワーに惚れます。ただし、アクセルを全開にして回転数を上げすぎるとエンジンが焼き付きやすいので注意が必要です。